黒魔女さんが通るブログ

黒魔女さんが通る‼︎ブログ

青い鳥文庫『黒魔女さんが通る‼︎』 をだらだら語る  

【黒魔女さんが通る‼︎】5巻を振り返る【感想】

 

これの続き。

 

krmjsnfan.hatenablog.jp

第1話

「紫吹モモでーす。二年生でーす。モモちゃんって、よんで!」

(『黒魔女さんが通る‼︎ part5』p19)

あらすじ

夏休み。突如押しかけてきたメグのいとこ、モモちゃんの面倒を見る羽目になったチョコ。ゲームセンターで遊ばせますが、一人っ子のチョコは小さい子の機嫌がうまくとれずににたじたじに。そこに子供をあやすのがうまい宮瀬灯子ちゃんが現れ、なんとかその場を乗り切ることに成功。さらにエロエースや横綱も弟妹たちとともに登場し、チョコはモモちゃんに頼りになるところを見せようと奮闘しますが……。

 

お姉ちゃんモードのチョコ

5-1の一人っ子の集まりに出かけるメグに、体よくいとこ・モモちゃんの世話を押し付けられたチョコ。慣れない「お姉ちゃん」業に奮闘します。

チョコたちにゲームセンターに連れて行ってもらうモモちゃん。実はその正体はギュービッドの後輩黒魔女・桃花ブロッサム。本来礼儀正しい彼女ですが、モモちゃんモードの時は見事なクソガキっぷりを披露してくれます。

しょっぱなからチョコをなめてる感があるモモちゃん。ゲーセンに着くと早速チョコをパシリにしはじめます。ゲーム機・「おしゃれガール」(元ネタはどう考えても「オシャレ魔女ラブandベリー」)で遊ぶために、カードホルダーの中から適当なカードを渡すようにいきなり命令。ゲームの知識がないチョコが間違えるとキレて半泣き状態に。なんかリアルなうざさです。

そんな弟子をフォロー(?)してくれるギュービッド様。変身魔法でチョコに成り替わると、おしゃれガールに黒魔法をかけ、画面の中の女の子に自分そっくりの格好をさせて遊びます。ギュービッドには弟と妹がいるそうですが、このシーン、彼女が子供時代どんなお姉ちゃんだったのかがうかがえて好きです。黒魔法をかけられたおしゃれガールの、「いい感じ! もっと呪ってーっ」というセリフについては、「黒魔女さんの小説教室」でも言及がありましたね。

モモちゃんにドン引きされたチョコの前に現れたのは、横綱、エロエース、宮瀬灯子ちゃんたち5−1のメンバー。彼らも弟・妹をゲームセンターで遊ばせに来たのでした。エロエースの弟の名前が「弘樹」なの、謎の納得感があります。

苦戦するチョコを尻目に、スロットゲームで次々とあたりを出すエロエースたち。彼らの妹や弟にバカにされたチョコは、呪文を使って大当たりを連発させることに。「黒魔法で勝つのはずるい」とためらいつつも、実際にコインがジャラジャラ出てくるのを目の当たりにすると「うっはぁ。すごいんですけどーっ」とテンション爆上げなのが人間味があっていいです。

 

桃花ちゃんがとうとう仲間に

大形くんを監視する目的で魔界からやってきた桃花ちゃん。メグのいとこになりすましていたのもその計画のためでした。

大形の命令に従い、灯子ちゃんたちの弟・妹をデパートの屋上からつきおとそうとする桃花ちゃん。そうすれば初段黒魔女に進級できるのだそうです。そして一番で修行を終わらせ、「黒魔女の女王」になるのだとか。もちろんすべて大形を騙すための演技です。クソガキ姿はすごい説得力がありましたが、「魔界を支配する」とか規模が大きい悪事はあんまり似合わないですね。でもギュービッドにタメ口使う姿にドキッときたのでOKです。

これ以降、ギューチョコ+桃花を中心にお話が展開していくことになります。ギューチョコは互いのキャラを最大限引き立てあうベストコンビだと思いますが、その間に挟まれて違和感がないどころかお話をさらに面白くしてる桃花ちゃんすごいです。「小説教室」でも、彼女が登場してからチョコがますますチョコらしくなったという記述がありましたね。こういう裏話みたいなのもっと知りたいです。

 

 

第2話

なるほどね……。

だけど、これって、ほんとに、ふだん心の奥底で思ってる相手なのかなぁ。

ちがうよね……。マンゴラゴラの魔力のせいだよね……。

そうだよ。ぜったい、魔力のせいだよ……。

(『黒魔女さんが通る‼︎ part5』p133)

 

あらすじ

ミニハイキングへ行く5-1。お弁当を用意できなかったチョコがコンビニへ行こうとすると、同級生の獅子村貴海くんに遭遇します 。自然の食材を使ってお昼ごはんを作ろうとする獅子村くんに、チョコもウコンの根を掘り出したりして協力します。

帰宅後、ギュービッドから、ウコンと思って調理したのはマンドラゴラで、それには男女を結びつける力があると聞くチョコ。慌てて落合川に向かうと、そこには信じられない光景が広がっていて……。

 

お弁当問題&獅子村貴海くん登場

ミニハイキングに行くことになった5-1。親が不在でお弁当を作ってもらえないチョコは憂鬱になります。

このシーン、やたらリアリティがあって好きです。おかずの豪華さで自慢大会を開く子がいるとか、かと言ってコンビニ弁当の中身を詰め替えると「幕の内弁当の組みあわせみたい」と言われてバレるとか(笑)。脳内舞百合の「ランチボックス」発言に「日本人なら『お弁当箱』って、いえ!」とキレるところもしょーもなくて好き。

それからこのお話は料理大好き少年・獅子村貴海くんの初登場回でもあります。前髪は真ん中分け、丸メガネをかけていて、いつも人の良さそうな笑顔を浮かべている彼。「貴海」という上品な名前がお似合いです。料理好きになったきっかけは「両親が共働きで、中2の姉は部活で忙しく、小4の妹はアニメオタクで家事を一切手伝わない」ことらしいですが、家族構成もなぜかものすごくしっくりきます。この頃の話はこういう細かいところがビシッと決まってるのがいいですね。

関東ではめずらしいウコンを掘り出すチョコ。エロエースたちは案の定「ウコン」と「ウンコ」ではしゃぎます。「なんか、音が、ビミョーにまずいような……」という前振りもあって笑ってしまいました。毎回思うけど、「こ」「ち」のつく言葉を聞くと、すぐ「うん、〇〇」ネタを繰り出せる瞬発力すごいですね。

 

Love要素も強い第2話

掘り出したのはウコンではなく、なんと男女を結びつける力がある「マンドラゴラ」だったことが発覚。夕暮れ時の落合川には、男女でペアになって歩く5-1メンバーがいました。

舞ちゃんとエロエース、メグと横綱など、意外な組みあわせに驚くチョコ。現在(6年生編10巻)、カラオケデートに行ったりしてずいぶん進展した感のあるエロ×舞ですが、初めて明確にカップルらしい姿が描かれたのはこの回です。

「優等生の舞ちゃんがエロエースのことを思ってたなんてありえない」と衝撃を受けるチョコに、「ああいう頭のいい女ってのはさ、自分よりダメなやつを守ってやりたいと思いがちなんだよなぁ」と返すギュービッド様。このシーンに限らずラブコメっぽい描写の多い『黒魔女さん』ですが、エロ舞はオリジナルキャラ同士というのもあって特別な愛を感じます。わりとファンサービスの多い作品だと思うんですが、この組みあわせだけはファンのためというよりは石崎先生の趣味だと思うんですよ、なんとなく。違ってたら申し訳ないですが。

エクソノームとの恋愛経験を語るうちに次第に落ち込んできてしまうギュービッド。「はいはい、恋の痛手をいやしたいのね。勝手にどうぞ」とドライに突き放すチョコがいいです。エクソノーム関連のことはウェッティに描かれることが多いので新鮮です。

そんなクールガール・チョコも、東海寺と麻倉が杏ちゃんや灯子ちゃんと手をつないで楽しそうにしているのを見て複雑な気持ちに。甘酸っぱいですねぇ。「東海寺たちの行動はマンドラゴラのせいだ」と、根拠のないことを言っているのが普段のチョコらしくなくていいです。

マンドラゴラの力を封印するため、麻倉と手をつなぐことになるチョコ。一緒に穴に入った時の、「むっとする草いきれ。ブーンというヤブ蚊の羽音。でも、あたし、ぼーっとしちゃて、そんなのぜんぜん気にならない……」という文章も好きです。夏の夜の湿度が高い感じが出ててロマンチック。桃花ちゃんと手をつなぎながらもチョコのことを見つめる東海寺くんも切ないですね。というかこの桃花ちゃんずいぶん大人っぽいな。

 

 

第3話

それにねぇ、あたし、その話、きらいなんだ。

だって、木こりがまちがって、泉に斧を落としたとき、女神さまは、それが鉄の斧だって最初から知ってたはずだよ。それをわざわざ金の斧とか銀の斧とか見せて、「おまえが落とした斧はこれかい?」なんて、心をためすんだよ。根性、悪いと思わない?

いきなり金の斧を見せられたら、ふつう、「ラッキー! いただきっ。」て、なるのが正しい人間の姿でしょ。

(『黒魔女さんが通る‼︎ part5』p169)

 

あらすじ

夏休みも終わりに近づき、いよいよ水泳の進級テストを控えたある日のこと、チョコは舞ちゃんたちに公園に呼び出されます。聞けばプールに幽霊が出るのだとか。退治を頼まれ、早速夜の学校にしのび込むと、なんと誰もいないはずのプールの底から髪の毛が浮かんでくるという現象を目撃します。

チョコからその話を聞き、ある人物の関与を疑う桃花。真相を突き止めるため、二人は再び学校へ向かいますが……。

 

エロエースたち

第3話はプールの幽霊ネタ。と言っても最初から幽霊がでてくるのではなく、発端はエロエースたちの授業態度を舞ちゃんたちが疑問に思ったのがきっかけでした。

松岡先生に報告するため、舞百合に頼まれて彼らを観察していたこころ&麗華。するとプールの底に幽霊らしき謎の影を発見。その退治がチョコに舞い込んできたという形です。

 このお話で地味に好きなのが、水泳の進級テストでズルをしようとするチョコを、「すこしは正直者になれよ。(略)プールに斧を落としても、プールの女神様から、金の斧がもらえないぞ」とギュービッドがたしなめるシーンです。その返答が冒頭に引用した言葉。ひねくれてるのに妙に筋は通っていて、非常にチョコさんらしくて好きです。ギュービッド様がほれぼれしちゃったのもわかります。

幽霊退治のために夜の学校プールに忍び込むギューチョコ。そこにいたのはエロエースと大谷くんでした。彼らは進級テストでメグの水着姿を盗撮するために予行練習をしていたのです。こんなことのために念入りに準備するところがキモいです。軽く犯罪だし。大谷早斗くんは初登場ですが、しょっぱなから強烈なシーンでしたね。

しかしその時プールの底から謎の髪の毛が伸びてきて、大谷くんを引きずり込もうとします。間一髪で友人をすくいだすエロエース。エロいけど友情にはあついようです。ガチでビビって逃げ出すギュービッド様が面白かったです。

 

速水くん登場

 結局、その夜は成果を得られなかったチョコたち。翌日桃花を交えて話し合った結果、一連の事件を引き起こしたのは5-1の速水瑛良ではないかという結論に至ります。速水くんはいつも屋上で本を読んでいるミステリアスな秀才で、プールもずっと欠席していたのです。

その夜、桃花と一緒に彼のいる屋上へ向かうチョコさん。p199の二人のイラスト、桃花ちゃんの影が大きく描かれているところがちょっと不気味で好きです。いよいよ屋上のドアを開けかけたところで、「ぬるりと湿った空気がほおをなでる」という一文が出てくるのも、怪談話を聞いているようなぞくぞく感があります。

案の定屋上にいた速水くん。投げ出された右脚と目にかかりそうな前髪、細いあごがニヒルな雰囲気です 。どうでもいいことですが、『黒魔女さん』は美男美女の描写にあごが出てくる率が結構高いです。

桃花(人間には見えない)と話しているチョコを見ても全く驚かず、かえって笑みを浮かべる速水くん。大形に続いてまたもイケメン悪役登場か? と思いましたが、その正体は「なぞるだけ」シリーズを愛読するオカルトファンの少年でした。この話以降、彼は大形&麻倉&東海寺と共にチョコ争奪戦に加わっていきます。と言っても他の三人ほど明確に好意を示しているわけではないですが、チョコとは趣味も合うし、わりとお似合いな気がします。

 

大形京復活

幽霊騒ぎを引き起こしたのは大形京でした。本人曰く、プールで遊んでたらぬいぐるみが外れちゃったそうです。

必死にぬいぐるみを装着させようとするギュービッドを、プールに突き落とす大形くん。封印は解けているはずなのに、「それなら、死んでおわびをすると、いいねぇ」と急にアニメ声になるの、めちゃくちゃギョッとしますね。溺れかけてるギュービッドを、「それにくらべて、暗御留燃阿はすごかったねぇ」とわざわざ煽るのもいい。

洗濯魔法で師匠を助けるチョコさん。その後、ギュービッドの黒魔法で大形はチョコの家の隣に引っ越してきて、桃花も彼の妹として監視にあたることに。彼が次に本領を発揮するのは約4ヶ月後と時間があいているので、この時の封印は結構うまくいっていたんですね。

 

 

まとめ

無印3巻からの第一次大形ターンが終了。桃花ちゃんや速水など、物語を通して活躍するキャラもたくさん登場する巻でした。特に人間界パートはこの辺りまでにでてきた人たちみんな重要ですね。

 

 

次巻の感想はこちら

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