黒魔女さんが通るブログ

黒魔女さんが通る‼︎ブログ

青い鳥文庫『黒魔女さんが通る‼︎』 をだらだら語る  

【黒魔女さんが通る‼︎】9巻を振り返る【無印感想】

この記事の続き

 

krmjsnfan.hatenablog.jp

 

 

第1話・5年1組が全員集合

1巻発売から約2年あまりたち、5-1メンバーが全員揃いました!(ちなみに最後に登場したのは古島真紅くん)

なので第1話はその記念回的なお話です。

卒業アルバムに載せるため、クラス全体写真を撮ろうとする5-1。ところが写真屋さんのカメラが故障し、うまく撮れない。さらにエロエースの様子がおかしいことから、チョコたちは羅門ルルが関わっていることをつきとめるが……というのがあらすじ。

1巻の第1話が心霊写真のお話だったことを考えると、シリーズの節目でまた写真ネタが出てくるのは感慨深いですね。

 

ルルちゃん、8巻ぶりの復活

1巻の3話以来まったく姿を見せなかった羅門ルルちゃんが、なんと8巻ぶりに登場しました! しかも背表紙にも登場。この鮮やかな復活劇は羨ましい限りです。そして相変わらずの毒舌っぷりで笑いました。チョコの記憶レスっぷりに怒ってみたり、ギュービッドに呆れたり、長い間登場しなかった分をとりかえすぐらいキレッキレです。実はかなり優秀なツッコミキャラなのでは?

集合写真に映りたいルルちゃん。それで、エロエースに呪文をかけて自分も映れるようにしたそうです。言葉の端々からエロエースへの感謝の気持ちは伝わってきますが、自分への好意を2度も利用するとは、すばらしい魔性の女っぷりです。でも、死霊は魔界でも原則学校へは行けないそうですから、学生生活への憧れが強いんでしょうね。写真撮影にノリノリで応じているのがシリアスなのに可愛かったです。イラストも相変わらずのお人形フェイスで安心しました。なにかとお墓に縁があるルルちゃん、卒都婆似合うね。

 

オカルトクラブ初登場

怪奇!将棋の駒男こと銀金太先輩が初登場。初の先輩キャラです。銀先輩はオカルトクラブの部長ですが、そういえば今巻までクラブ活動ネタは一切ありませんでした。小学生あるあるを細かく描写してきた黒魔女さんにしては意外な気がします。

部員の知識が中途半端なので軽く見られている傾向がありますが、第一小のオカルトクラブはなんだかんだ言って本格派ですよね。死霊を生で見れるクラブなんて、1巻以前のチョコだったら喜んで入部しそうです。「あの、命をいただくって、こっちからすると、命をとられるってこと?」とお子ちゃまレベルの質問をする速水くん、普段のつめたい印象がすっかり消え失せていて面白いです。「なぞるだけ」シリーズの愛読者だったり、以前からやや抜けている感じはあったのですが、この話以降、さらにギャグキャラ化が進む気がします。命を差し出されそうになってるのにオカルトうんちくをかましてるのには笑いました。

銀先輩ははきはきしていておおらかで、チョコや速水くんとは真逆のタイプだと思います。彼がなぜオカルトに興味を持ったのか気になる。そしてチョコをスカウトしようとするあたり、かなり人を見る目がありますね。

 

 

第2話・5-1以外のキャラも多数登場

第2話は委員会話。これまでも舞ちゃんがたくさんの委員会を作ってきましたが、短期的なものではなく、学校運営のための委員会ネタは初めてです。最高学年に近づいている感じがしますね。第1話の銀先輩といい、2話の藤原先輩といい、9巻から17巻くらいまでは先輩キャラがたくさん登場します。そして、この回は初の5-2キャラ、室図穂さんも登場。5-1が全員揃ったからか、5-1の教室を舞台としないお話も増えていきます。

家に押しかけてきた室図さんに、図書委員になってくれないかと頼まれるチョコ。実は、図書室では本の位置が勝手に変わる怪奇現象が起きているのだという。その原因が葉月星夜くんにとりついた魔物にあることに気づいたチョコたちは、魔物を追い払うために奮闘する……というのがあらすじ。

 

クモザル先輩初登場

この回のもっとも大きな出来事は、チョコが図書委員会に入ったこと、そして、クモザル先輩こと藤原先輩の初登場だと思います。

図書委員会は6-1編でも登場しますから、5-1以外のチョコの活躍の場としてかなり重要だと思います。今のところ、藤原先輩以外のメンバーに焦点を当てたお話があまりないのですが、今後書かれたら是非読んでみたいです。

藤原先輩は本の位置を全部覚えているなど、委員長として威厳があるだけでなく、黒魔女ドリルの解説をしてくれるなどオカルトにも詳しいです。オカルトクラブの部長もできるんじゃないでしょうか。また、チョコの正体にほぼ唯一気づきかけた人間界キャラでもあります。

チョコが人間の前で黒魔法を使った後は、大抵ギュービッドが忘却呪文をかけるのですが、この回では珍しくかけていないです。そのため、藤原先輩のなかで「黒鳥千代子黒魔女疑惑」が深まることになり、14巻まで引っ張られました。

 

第一小図書室に置いてある本の元ネタ

怪奇現象の説明のシーンで、『おムスビをもっていこう』『おばかな白魔女はパクってなんぼ!』というタイトルの本が出てきました。あと『呪っちゃいそうだよ』も。これ多分、元ネタは『摩訶不思議ネコ・ムスビ』と『黒魔女さんが通る‼︎』、『泣いちゃいそうだよ』だと思うのですが……。『おムスビをもっていこう』の「画期的な遠足小説」という解説に笑いました。それから別のシーンでは、石崎先生の『チェーン・メール』も出てきましたね! 『チェーン・メール』は内容もさることながら、表紙がクールでかっこいいです。

 

 

第3話・人間界に魔界スポットが誕生&次巻への流れ

第3話では、魔界喫茶・ハンプティダンプティが初登場。今でこそモリカワや黒鳥神社等の魔界スポットが人間界にもたくさん登場していますが、当時はこれしかなかった。ギュービッドが「オーナーもウェイトレスも客も全員魔界の人だからリラックスできる」的なことを言ってましたが、魔界人が人間界で暮らすのはやっぱりそれなりにストレスが溜まるものなのでしょうね。思えば、チョコのインストラクターになって以来、一回も長期的な帰省をしてないし。また、ハンプティダンプティの女主人・スッテンマイヤーさんは黒魔女しつけ協会人間界支部長。じつはかなりすごい方です。

ハンプティダンプティのメニューは全て名作児童文学へのオマージュ。チョコが飲んだイチゴ水は赤毛のアンにでてくるやつですね。間違えてぶどう酒を出してしまうところまで原作通りです。さすが黒魔女さん、芸が細かい。

それから、ギュービッドが喫茶店の楽しみ方をチョコに教えているのがグルメっぽくてよかったです。このシーンのギュービッド、なんだかすごく「大人」って感じでした。彼女がグルメというのはキャラブック等でも触れられていますが、本編でもそのグルメっぷりを楽しめるのはうれしいですね。

 

ティカ、ついに覚醒

8巻で黒魔女であることがほぼ明らかになった黒鳥千香子。今巻、そのティカがついに覚醒します!

座敷あらしにつれさられた古島真紅くんを助けるため、自ら畳のなかに飛び込んだティカ。そして、物入れに残された伝説の「魔力消去法」のメモ。黒鳥神社の行李の中にあった魔女学校の卒業アルバム。クラス写真の右上、まるで囲まれた、チョコとそっくりな女の子の写真。

この、点と点が繋がって線になっていく感じ、本当にたまらないですねぇ〜。畳み掛けるように伏線が回収されていくのもぞくぞくする。このぞくぞくは3巻〜5巻の第一次大形ターン以来ですよ。黒鳥神社でアルバムをめくるシーンは、チョコの鼓動が伝わってくるようでした。遠くから繰り返し聞こえる松野サチコの「気をつけろ、まじょがりだぁ」という叫び声も不気味でいい。このシーンの演出神すぎかよ。

それから、第1話でルルちゃんを卒アルに載せるか否かみたいな話があったのを考えると、3話のクライマックスでまたティカだけ円で囲まれた卒アルが出てくるのは、構成的にかっこいいですね。