黒魔女さんが通るブログ

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青い鳥文庫『黒魔女さんが通る‼︎』 をだらだら語る  

【6-1黒魔女さんが通る】01巻を振り返る【感想】

この続き。

 

krmjsnfan.hatenablog.jp

 

第1話

あらすじ

六年生になったチョコ。ある日登校すると、女子からの圧倒的人気を誇っていたはずの三条ショウくんの周りに女子が一人もいないという異常事態が発生しています。舞ちゃんたちによると、木村悠一というイケメンが隣のクラスに転校してきて、人気がそちらに移っているのだとか。彼を応援する女の子たちはファンクラブまで作っており、アイドル並みの人気です。それだけではなく、翌日、エロエースや横綱までイケメン扱いされ出し、面喰らうチョコ。さらに、なぜかチョコも男子たちから「推しメン」だと言われて……

 

ショウくんにライバル出現

青龍編の時点で重要キャラだったショウくん。無印初期はそのイケメンぶりで女子をキャーキャー言わせていましたが、後半になって読者キャラが増えていくにつれてどんどん影が薄くなってしまったような気がします(キャラブックでも半ページしかもらえてなかったし……)。ですが、記念すべき六年生編第1話の中心キャラはなんと彼。無印から読んできたファンとしては嬉しい限りです!

さて、今回、みんなのアイドルショウくんに強力なライバルが現れます。その名は木村悠一。背が高く、目は切れ長でダンスが上手な、スタイリッシュなモデル系イケメンです。ショウくんはジャニーズ系の王子様顔かと思われますので、同じイケメンでもタイプが違いますね。

そんな超絶かっこいい木村くんの出現に女子は大騒ぎ。反対に、いつも誰かにちやほやされてきたショウくんの周りには誰もいません。その様子を見て心を痛めた舞ちゃん&百合ちゃんは、彼の人気を取り戻すべくファンクラブを作ることに。このころはまだ舞ちゃんはショウくんが好きだったんですよね、本心はともかく行動の上では……。最新刊ではエロエースとカラオケデートまでしてますが、どのタイミングで自分の気持ちに気付いたのでしょうか。

結局木村くんのイケメンっぷりは魔界グッズのおかげでしたが、外見だけでなく行動もイケメン風になっていたところに黒魔法の力の凄さを感じます。チョコと公園で会くわした時の「アスタ・ラ・ビスタ、ベイビー!(地獄で会おうぜ、ベイビー!)」も最高にスカしていて、ショウくんとのモテる男子同士の会話も読んでみたい気持ちになりました。

 

アイドルネタ多し

魔界グッス「イケ麺」「オシ麺」のおかげでモテモテになったのは木村くんだけではありませんでした。エロエースや横綱、そしてチョコまでもがみんなの人気者に。「ピッチャーのポーズ、やってみせてぇ!」と頼まれたエロエースが、「こうやって、大きくふりかぶって……。」と言っていたのが小ネタが効いていて面白かったです。

「イケ麺」は普通に「イケメン」のもじりですが、「オシ麺」は主に好きなアイドルに対してファンが使う「推しメン」という言葉のもじりです。ずっっと前の話ですが、公式ホームページでギュービッドさまが「嵐の中なら〇〇推し」という発言をしたこともありました。たしか次の更新日に読者から「ジャニーズは『〇〇推し』じゃなくて『〇〇担』って言うんです」というツッコミを受けてた気がします。

そして今回は明らかにPerfumeっぽい後輩3人組が登場しましたね。彼女たち「図書館少女隊」は作者キャラ。石崎先生はPerfumeがお好きなのか……。たしかに、Perfumeの都会的な雰囲気は石崎作品っぽいような? 

 

 

第2話

あらすじ

入学式当日の第一小。舞ちゃんは生徒会長としてスピーチをしますが、なぜかオヤジギャクを連発し、大滑りしてしまいます。名誉挽回の為に「一年生をむかえる会」でとびきりいい演し物をしようと考える舞ちゃん。自宅にチョコや百合ちゃんを呼んで作戦会議を行います。舞ちゃんの家へ行く途中、チョコは迷子になっていた新一年生・伊津守諭吉くんを家まで送り届けますが、道中、妙にオカルトちっくなクイズを出されます。

そして迎えた一年生をむかえる会本番。演し物は全く盛り上がらず、白けた空気に。そんなとき、ある人物が衝撃的な発言をして……

 

怪しい諭吉くん

今回は無印18巻に登場した伊津守麻衣子ちゃんの弟、伊津守諭吉くんが出てきます。

迷子になってしまった彼を、チョコは家まで連れて行ってあげることにします。子どもっぽいなぞなぞを出したかと思えば、やたらマニアックなオカルト問題を出す(しかもその前の問題にヒントを仕込んでおくという小学生離れした小技つき)など、怪しげな雰囲気満点の諭吉くん。特に、同音異義語的な魔界っぽい単語(「神ねんど」「魔ぞ魔ぞ」など)をチョコがスルーしているところではハラハラしました。文字を追っている読者は「『紙ねんど』じゃなくて『神ねんど』なのはおかしいぞ」と思えるんですけど、耳で諭吉くんの言葉を聞いているチョコはそれに気づけないんですよね。読者にはわかっていることが主人公にはわからないという、スリル満点のシーンでした。

結局、彼は黒魔法をかけられていただけの普通の子どもで安心しました。諭吉くんの名前は一万円札に描かれてる福沢諭吉からでしょうが、お札のデザインが変わってしまうので万札を差し出す癖はこれを機にやめた方がいいですね。

 

オカルトな「一年生をむかえる会」

黒魔法がかかっていたせいで、オカルトな演目だらけになってしまった一年生を迎える会。三年生は『地獄少女』の挿入歌である「さくらうた」を歌い、四年生は『墓場鬼太郎』のテーマの「モノノケダンス」を演奏し、五年生は『ヘビ少女』の歌とダンスを披露します。

毎巻思うんですけど、石崎先生のオカルト系知識の幅すごい広いですよね。サバトやら薬草やらの正統派のオカルト(?)だけじゃなく、アニメや漫画にいたるまで。舞ちゃんの入学式用スピーチの中に『魔法少女まどか☆マギカ』のネタもありましたが、年代も幅広いですよね。

なかでも『地獄少女』は小説版も書いていらっしゃいますし、特にお好きなんでしょうか。私も2期までは見てましたが、あの都会の暗さ的な雰囲気は初期黒魔女さんっぽいなと思います。第1期のオープニングのサビで主人公がモノクロの人混みの中を歩いているシーンが、クールかつ影があってあのころの空気感を思い出させます。

オカルト色が強すぎる演し物の連続にすっかり盛り下がる新一年生たち。実はそれは黒魔法のせいでした。入学式、一年生をむかえる会と、生徒会長としての見せ場が連続でめちゃくちゃになってしまった舞ちゃんの苦労がしのばれます。

 

 

第3話

あらすじ

黒魔女学力テストに向けて勉強するチョコ。気分転換に、魔界版フリーマーケットである「フリ魔」に出かけます。魔界の古い雑誌を手に入れ、付録の魔力増強カードもゲット。それを使って「相手を黒猫に変身させる黒魔法」をかけ、成功させます。帰宅後、家にやってきた藍川結実ちゃんから、可愛がっていた野良猫たちの姿を引越し後見なくなったと相談を受けるチョコ。早速結実ちゃんの家に向かうと、どこかで見覚えのある猫が2匹現れて……

 

藍川結実ちゃんが活躍

第1話の中心人物は作者キャラ・ショウくんでしたが、第3話は動物女王・藍川結実ちゃん。彼女もかなり初期に登場したキャラで、これまでも出番は多い方でしたが、掘り下げられるのは久しぶりです。

動物への愛と知識が深い結実ちゃん。特に、チョコに突進してきた黒猫たち(正体は麻倉&東海寺)の目の異常を一瞬で見抜いたのはさすが動物女王だと思いました。そのような鋭い観察眼を持つ一方で、黒猫たちがチョコをめぐって争っているのをみて「ロニャンチック!」とうっとりしているのがかわいいです。なじみの猫たちの姿を見た時のホッとした反応も暖かくて、私が猫でも好きになっちゃいそう。

それから、彼女にはお兄さんがいるという新事実も発覚。家の内部構造まで明らかになったのも嬉しかったです。

 

フリー魔ーケット

「魔界科見学」と称して魔界版フリーマーケットこと「フリ魔」に出かけるチョコ。売っていた古本も、「魔女の友」「魔法少女倶楽部」など、どこかで聞いたことがあるようなタイトルが多くて楽しいです。人間界にも随分魔界スポットが増えましたね。

「掘り出し物を見つけたいなら午前に行くのがオススメ。安く買いたいなら午後がオススメ」と、超庶民的なアドバイスをするギュービッドが面白かったです。そして「ココナッツオイル」のばったもんをつかまされるというオチもあるあるで笑いました。

フリ魔で手に入れた魔力増強カードをつかって、うっかり黒魔女学力テストの試験官に「相手を黒猫に変身させる黒魔法」をかけてしまったチョコ。試験官の名前を当てて元の姿に戻すことにします。トラネコを使い魔にしていることから、彼女が「マクベス」に登場する「魔女Ⅰ」さんだということを突き止めます。第2話の6-2の劇が伏線になっていたとは! そして、「きれいはきたない。きたないはきれい」というフレーズは無印4巻にも出てきましたね。チョコは忘れているようですが……。

 

 

全体を通して

この巻からチョコが6年生になり、タイトルも『6年1組黒魔女さんが通る‼︎』に変わります。表紙の文字も、今までは黒字に赤い縁取りだったのが赤字に黒い縁取りになり、以前より明るい印象に。内容は無印3学期の時点でずいぶんポップになっていましたが、6年生編からは意識的に作風を変えている感じを受けました。この巻が出たのが2016年。そりゃあ 2000年代半ばの巻とは雰囲気変えてきますよね。

また、新規の読者が入ってくることを想定したのか、プロローグ<ほんとうにあったこわい話>が久々に収録されています。1話にたくさんのキャラがでてきた無印3学期編と比較すると、ひとつのお話で活躍するキャラクターの数も絞られ、一人一人の特徴があらためて強調して書かれている気がしました。そのなかでも作者オリジナルキャラや物語上重要なキャラが優先されたように思います。

 

 

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