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青い鳥文庫『黒魔女さんが通る‼︎』 をだらだら語る  

【6-1黒魔女さん】最終巻へむけて〆ようとしてる感『黒魔女さんは白魔女さん⁉︎』【18巻感想】

前巻はこちら

 

krmjsnfan.hatenablog.jp

 

あらすじ

第1話

大田くんが攻撃的なのは人をこまらせ、やる気をうばう「エネルギー・バンパイア」になっているからではないかと推測するチョコたち。対抗策として、エネルギー・バンパイアの原因である「厄味」について勉強し始める。

一方、卒業を控えた6-1は、校長先生と一緒に特別給食を食べる事に。新しく赴任してきた調理員が作る豪華なメニューに舌鼓を打つみんな。しかしその後、何人かの様子がおかしくなり始める。

そんな中むかえた親善運動会。果たしてチョコは大田を倒す事ができるのか?

第2話

チョコはギュービッドたちに、黒魔女には『光り輝く者』と『光を嫌う者』の2種類あると教えられる。また、『光り輝く者』の魔女に仲間にならないかと誘われてしまう

一方、6-1は6年生を送る会で披露する劇の練習中。練習に付き合ってくれる麻倉+東海寺に心を打たれるチョコ。また、大形と黒魔女修行卒業後のことを話し、卒業後は魔力を捨てるという選択が正しいのか心が揺れ始める。

そんな中急に始まった卒業試験。お題は衝撃的なもので……

 

感想

全体的に最終巻が近いことを感じさせる内容でした。

↑のようなことをここ何巻かずっと書いてる気がしますが、今巻は本当にそうでした。

 

大田との勝負の行方

まずは前巻から引っ張っていた大形VS大田について。

第二小の不良・大田龍河。チョコのことが好きなのか、大形くんにやたら敵意を燃やしていました。前巻のラストでは「大形を絶対潰す!」と鼻息を荒くしており、今巻ではその対応をすることに。

結局、彼は魔界グッズを食べさせられ、攻撃的な性格になっていた事が判明。その裏には「光り輝く者」という一味に属する左端という魔女?がいるそうな。

どうも彼自体がどうのこうのというより、「光り輝く者」という存在を登場させるのが一連のエピソードの目的だったようです。チョコのことも嫌いではないのでしょうが、強引に迫っていたのが魔界グッズの効果だったとすると、本来そこまで強い思いは持ってないのかな……という印象を受けました。

これで少し思ったのが中学生編はやっぱりやらないのかな? ということです。このタイミングで恋バトルにメンバーをわざわざ追加するのは、てっきり今後、麻倉や東海寺と一緒に活躍させる予定があるからだと思っていましたが……。でも今後また10年以上シリーズを続けるのは大変なのかなとも感じたり。

大田くんは6年生編で採用されたキャラの中でも特に個性のあるキャラだと思ってたので、これ以上の役割が与えられていないのならすこし寂しいです。

公式HPで中学校の入学式のネタを募集してるので、まだわからないですけどね。

 

光り輝く者VS光を嫌う者

そして今巻、驚きの事実があきらかに。魔女的な存在には、「光り輝く者」と「光を嫌う者」の2種類があり、チョコたちは後者だそうなのです。

「光り輝く者」は天使の魔力にあやかって人を助け、「光を嫌う者」は悪魔の魔力にあやかって人を呪うそう。二つは反目し合っているようです。

はえ〜、今これをお出してくるのがさすがドライブ感って感じですね。個人的には、10巻で「黒曜石の黒魔女」とか言ってた時に期待したようなダイナミックなお話が始まりそうでワクワクします。

「光り輝く者(以下白魔女)」の一味・左端は、チョコに「自分たちの仲間にならないか」と誘いを持ちかけます。チョコは黒魔女だけれども、人を傷つけたいと思ってないし、逆に人助けになるようなことばかりやっている。だったらいっそ白魔女になってしまえばどうかというのです。

左端がすぐ倒される系の悪役ではなく、「確かに一理あるな」という事をいうのが、得体の知れない感じがあっておもしろかったです。「あなたも大田を呪ったじゃないか」という反論に対して「そのおかげで彼は読書好きになった。結果的に助ける事になるか、不幸にすることになるかは状況によって変わる」と返したり。

また、「チョコが人を呪おうとしないのはギュービッドもよくわかってる。対立する事になっても、いずれ決定を尊重してくれるはず」とか、これ言われたら心揺れるだろうなぁと思いました。ギュービッドの弟子への愛情を第三者(さほど関係が濃くない)のセリフから感じるの、いいですねぇ!

わたしは黒魔女さんのポップでクールかつダーク、みたいな雰囲気が好きなので、今回あらためて「黒魔術は人を呪い苦しめるもの」という基本に立ち返ってくれたのが嬉しかったです。

 

チョコの卒業試験

そしてそして、チョコの黒魔女卒業も次巻の大きなテーマになりそうです。

もともとこのシリーズは、「無理やり見習い黒魔女になったチョコが、修行を一番で終えて魔力を捨て、普通の女の子に戻る」、というのがゴール(仮)のような形で一応明言されていました。しかし今まで、それ以上のことが具体的に書かれたことはなかったので、その辺はふわっとしたまま完結するのかと思っていました。

ですが今巻、第2話のはじめから何度も卒業試験について言及され、ラストではとうとう試験が開始してしまいました。

6年生を送る会で、チョコは左端から、黒魔女しつけ協会が卒業試験を開始したこと、その内容は同級生全員の魂を抜きとることだということ、ギュービッドに迷惑をかけずに棄権するためには今すぐ自分たちの仲間になる必要があることを告げられます。

急に、6-1のみんなを守るか、ギュービッドを守るか、素性の知れない白魔女の仲間になるかの決断を迫られるチョコ。そのとき、大形くんが声をかけてくれます。「ぼくはいつだって黒鳥さんの味方だよ」「誰を犠牲にしたってぼくたちに幸せな未来がまっていることは、変わりがないんだからね」と。ふりかえると彼の瞳にも、うっすら闇が広がっているように見えるのでした。

どんどん不穏な空気が高まっていき、最後に爆発するような展開にしびれました。しつけ協会から届いた通知の事務的な文章も緊張感に拍車をかけていてGoodです。なんというか、初期から読んでた身としては、いよいよこの時が来てしまったんだなという感じもあります。

また、チョコの葛藤が最後グンと深まる伏線が丁寧にはられていて、さすが石崎先生ですねぇ! と思いました。たとえば、

①魔力を捨てていいのかどうか

・ギュービッドの同級生たちから「もったいない」と言われる

・大形に「魔力を捨てたら、ギュービッドたちのことはもちろん、大形やティカが黒魔女だということも忘れる。自分のこともいつもぬいぐるみを持ってるキモい男子としてしか認識できなくなる」と言われる

②ギュービッドの幸せを邪魔してはいけない

・ギュービッドの想い人・エクソノームが死の国の皇太子になることが決まった。お披露目の儀式(卒業試験の日に開催)で、未来の皇太子妃にプロポースをするらしい。チョコが試験に失敗した場合、そのインストラクターは皇太子妃の資格なしと思われるかもしれない。

③白魔女になるべきなのかどうか

・麻倉、東海寺から「黒鳥が本当に魔女だったら、中学でもおれたち3人を同じクラスにしてほしい」と言われる

・左端から、「白魔女になれば魔力を↑のような人助けのために使えるし、ギュービッドたちのことも忘れずに済むし、卒業試験を棄権することができるので6-1のことも救える」と言われる

 

特に②に関しては、ここも決着をつけるのかぁと驚きました。ギュービッドの恋も無印1巻から書かれてきましたが、もし結婚するということになったら、チョコともお別れになりますし、いよいよこのシリーズも完結なのだなと思います。

個人的には、二人の関係はギュービッドが一方的に思いを寄せていて、エクソノームは優柔不断ゆえにそれを断りきることができない、みたいなものだと思っていたので、彼もギュービッドのことがちゃんと好きだったというのにすこし驚きました笑。エクソノーム的にはあくまで「自分を慕ってくれる可愛い元生徒」のような存在かと……。

また、魔力を捨てると大形のこともふつうの男子にしか見えなくなるというのも切ないですね。大形自身は望んで黒魔法使いになったわけではないけれど、卒業後もやめるということは考えてないのが彼らしいなと思いました。

 

次巻どうなる?

次巻の展開を予想する上で手がかりになりそうなのが、「大形の卒業試験の内容」「ギュービッドがチョコにくれた白いゴスロリ」「強制終了のための緊急手段」です。

今巻ラスト、大形の瞳に闇が宿っていたのは、彼の卒業試験も開始したからではないでしょうか。直前に「ぼくは何度も罰を受けているので、卒業試験も特別厳しいものになるだろう」と話していましたから、試験が過酷すぎて闇っぽくなっているのだと思います。

「誰を犠牲にしたってぼくたちに幸せな未来がまっていることは、変わりがないんだからね」というセリフから考えると、試験内容は「誰かを犠牲にしろ、さもなければチョコを危険にさらす」というものな気がします。犠牲にすべき「誰か」はわからないですが、彼にとって大切な6-1か、師匠かその辺りでしょう。

白いゴスロリ。これは、直前のエオスターラのサバトのシーンでギュービッドがくれたものです。一見普通の黒い魔女服ですが、裏返すと白と薄紫を基調としたロリータになっている、というやつ。白はあきらかに白魔女の白でしょう。もしかしたら、試験がこのような内容になることを予期したギュービッドが、弟子を助けるために何かしらの魔力を込めてプレゼントしたのかもしれません。

試験強制終了のための緊急手段というのは、「恋をする」というもの。見習い黒魔女は恋愛禁止なので、真剣に恋に落ちれば、その途端、試験も黒魔女修行も終了になるのです。これは最近の展開的にありえそうですね。ただ、相手となるであろう大形が試験をやめる姿が想像できないので、その辺が楽しみです。

個人的な願望を言えば、暗御留燃阿を話に絡ませてほしいです(毎巻言ってる気がする……)。単に私が暗御留燃阿オタだから推しの出番がほしくて、というだけでなく、それが自然だと思うからです。

チョコの卒業試験の通知はギュービッドに届いてるそうです。ならば当然、大形の試験が始まったことをインストラクターである暗御留燃阿も知っているはず。そして弟子の試験が”特に”過酷なのはかつて彼を闇落ちさせた自分の責任。だったら「大変だろうけど頑張ってね〜😉」だけじゃなく、何か行動するはず。今巻、「インストラクター黒魔女は何をおいても弟子を助けるもの」と言っていたのだからなおさらです。

次巻はギューチョコ師弟の絆や京チョコのLOVEが中心になるのだろうと思いますし、わたしもそれを読みたいです。ですが、暗御留燃阿にも”キャラとして自然な行動”をとってほしいのです。「師匠として弟子を助けるべきだと思っている、黒大形の件は自分に責任があるとわかっている」という設定なら、それと矛盾しない行動をとらせてほしいです。

「ありありのオオアリクイ」可愛かったです☆

 

 

次巻も楽しみです!