黒魔女さんが通る‼︎ブログ

青い鳥文庫『黒魔女さんが通る‼︎』 をだらだら語る  

【6-1黒魔女さんが通る】『黒魔女さんの夏休み』を振り返る【感想】

この続き。

 

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大形くんによるプロローグ

今巻はなんと、大形くんの一人称プロローグからスタートします!

前巻「黒魔女さんの修学旅行」で魔力封印のぬいぐるみを外すことに成功した大形くん。「夢の書」にうつった6-1の楽しげな光景をながめながら、「魔力が封印されなければ、こんなに愉快な生活を送っていたはずなのに」と悲しみます。

生まれつき魔力があった大形くん。幼稚園児のころ、暗御留燃阿に弟子にさせられるも、予想外に魔力が強いとわかると魔力を封印され、無印3巻でチョコにぬいぐるみを外されるまで意識がない状態で生きてきたのでした。だからこそ、魔界への復讐に燃える邪悪な魔法使いになってしまったのです。

大形「ぼくをこんなひどいめにあわせた暗御留燃阿は、魔界の黒魔女しつけ協会から罰を受けた。でも、それだけ。それどころか、魔力が強すぎるモンスターみたいに、ぼくをあつかうようになった。 ゆるせない! ぼくは被害者なのに!」『黒魔女さんの夏休み』p8

キタ――(゚∀゚)――― !!

大形問題に暗御留燃阿が関わるフラグキタ―――‼︎

前述した事情からわかるように、大形くんが恐怖の魔法使いになったのは100%暗御留燃阿のせい。なので大形も彼女に対しては特に強い恨みを持っています。無印4巻でコントロール魔法をかけてシンデレラの継母役をやらせた上、ヤギの姿にまでしたことからも、その憎しみのほどが伝わってきます。

ですが12巻ラストで暗御留燃阿はグラシュティグ会長に命じられ、チョコたちの仲間になります。だからと言ってこの二人のわだかまりは全く解消していないはずなんですが、それ以降、大形が妙に大人しかったんですよ。ぬいぐるみは何度も外れているのに暗御留燃阿の暗の字も出さないし、近くにいることはわかっているはずなのに復讐にもいかない。けど依然として魔界への恨みはあるらしい……。これはどういうことなのかなと、暗御留燃阿ヲタとしては思っていたわけです。

ところが今回、大形くんは改めて暗御留燃阿への恨みの気持ちを口にしました。発売日前の「ためし読み」の時点でこのプロローグは全部読むことができたのですが、その時からいい予感がしましたね。

 

第1話について

あらすじ

8月の全校登校日の朝、「ホンネ聞き取り魔法」の修行に苦戦するチョコ。しかし 、6-1の教室に着くと、呪文を唱えなくてもみんなの心の声が聞こえるようになります。

6-1では、町内会の夏祭りに何をやるかという議題で話し合いが行われています。いくつか意見が出たものの、最終的には大形(分身)が提案した肝試し大会をやることになります。

帰宅後、「肝試し委員長」に任命されたチョコに、ギュービッド・桃花・暗御留燃阿が相談に乗ってくれます。そこでの3人の様子に違和感を覚えるチョコ。そして5日後、肝試し大会本番に現れたのは、意外な人物で……。

 

暗御留燃阿の出番が多くて嬉しかった

暗御留燃阿は18巻から7巻ぶりの登場。しかも今回は13巻以降登場するたびに出てきた「暗御留燃阿さん、本当に優しい黒魔女さんになりましたね」という選挙カーのようにしつこいヨイショもなく、非常に読みやすかったです。

チョコの部屋でランチミーティングを開くギューチョコ桃花&暗御留燃阿。なんと暗御留燃阿がお昼ごはんをつくってくれます! 中学生男子のような勢いで料理にがっつくギュービッド、暗ギュー的に萌えました。p53の「そんな化け物になること、わたしの美的センスがゆるさないわ!」というセリフも、悪役時代の高飛車な感じがあって好きです。こういう暗御留燃阿がいいんだよ。

挿絵は亜沙美先生ですが、p43の暗御留燃阿は3巻か6巻を参考に描かれたのでしょうか。胸元のペンダントはそれ以外の巻ではつけてないし。やったぜ的には3巻の初登場時のイラストが超絶美人で好みです。

 

大形くんのセリフがとてもよい

肝試し当日、チョコ&6-1を魔界に連れて行こうとする大形くん。すかさず止めに入り、ぬいぐるみをつけようとするギュービッドたちですが、見たことも聞いたこともない呪文を唱えられ、魔界に逃げられてしまいます。

人間界から去る直前、ホンネ聞き取り魔法でチョコに気持ちを伝える大形くん。「ひとりぼっちはさびしいよ。やさしい黒鳥さんに、そばにいてほしいんだ」と言い残します。いつも魔界への憎しみを語っている大形くんが、繊細な子どもの一面を自らあらわにしたことにグッときましたね。プロローグもそうですが、今巻は強がりや怒りの裏にある彼の傷つきやすさや年相応な部分が見え隠れしていたのが良かったです。

それに比べて我が推しはさぁ……。

「いいえ、あなた(大形)は魔物よ。」って……。そのセリフを一番言っちゃいけない人が一番言っちゃいけない相手に向かって……。

無印18巻の桃花への発言もそうですが、改心後の暗御留燃阿は「いい人になった」という設定のわりにそれに反するような言動をけっこうしているので、結局どんなキャラなのかいまだによくわからないです。

まじでなんでこのセリフ言わせたんだろう。いくらなんでもあんまりな発言なので、何か考えがあってのことだと思いたい。

とはいえ、暗御留燃阿が大形問題についての責任を認めたのはうれしかったです。ここ↓に書いた問題が一つ解消されかかってるような気がして。

 

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それから、大形と暗御留燃阿の会話(?)シーンが描かれましたね。実は、この二人の会話が描かれるのはシリーズ全体を通しても初めてです。これが最初で最後じゃありませんように。

 

 

第2話

あらすじ

桃花ちゃん、東海寺家とともに麻倉家のお盆バカンスについていく羽目になったチョコ。良太郎&阿修羅に加え、個性豊かな家族たちもチョコ争奪戦に加わりヘトヘトになります。

麻倉家の別荘付近の海で泳いでいると、塊水浴という死霊の群れに襲われかけるチョコ。さらに夜になると、寝室のドアがノックされるような音がします。チョコ&桃花が音をたどっていくと、謎の階段を発見します。そこで二人の目に入ってきたのは、信じがたい光景で……。

 

「人は死んだら灰になってはいさようなら」って本当?

シリーズ開始以来、一貫して幽霊の存在を否定し続けてきた黒魔女さん。ところが今回、それを覆すような出来事が起こります。東海寺阿修羅の亡き祖父、迦楼羅が現れたのです。彼はチョコに重大な問題が降りかかっているはずだと話し、烏枢沙摩明王の真言を教えてくれました。

迦楼羅は魔力を持っていますが、生前は黒魔女ではなく、陰陽師として活躍していました。無印2巻のギュービッドによれば、陰陽師の霊力は白魔術にあたり、黒魔術と対立します。

迦楼羅の言う「重大な問題」とは前後の文脈的に大形問題のことと考えていいと思います。そして第3話では教わった真言を唱えた結果、大形の亡き祖父・京太郎が復活しました。彼らは故人です。つまり、黒魔術の世界ではナシだった幽霊の存在が、白魔術ではアリということになります。

「幽霊は存在する」というだけでも衝撃ですが、それが大形問題に関わるとなるともう目がはなせないですね。

 

まさかのご先祖さま登場

チョコをめぐってあらそう麻倉&東海寺。今回はなんと彼らの祖先、豪太郎&迦楼羅が登場します。実はこの二人、若おかとのコラボ作品ではすでに登場しているのですが、本編にまで登場してくるとは思わなかったのでびっくりしました。しかも若い頃には一緒に命がけの旅をした仲なんだとか。迦楼羅は石崎先生もお気に入りらしいので、外伝への期待も高まります。

それにしても、麻倉&東海寺のキャラがまさかこういった形で深まるとは思ってもみなかったです。本人たちは対立してるけど祖先はともに大きなことを成し遂げた仲だなんて、少年漫画の主人公とライバルみたいな関係じゃないですか。

 

 

第3話

あらすじ 

お盆の衝撃的な出来事から終日後。迦楼羅が唱えた呪文を練習するチョコ。メグに誘われ、「ホソカワ」に自由研究の材料を買いに行きます。

すると、客の中に魔界の住人らしき二人組を発見します。彼女たちから、8月31日に二級黒魔女昇格の認定式が開かれること、そのときまでに魔界グッズを創作し、持参しなくてはいけないことを聞いたチョコ。ギュービッド・桃花と協力し、なんとかグッズを作り上げます。

そして迎えた31日。認定式の最中に現れ、チョコを魔界に連れ去ろうとする大形。とっさに迦楼羅に教わった呪文を唱えると……。

 

創作魔界グッズはまたどっかで使いそう

二級黒魔女昇格の認定式に持って行く呪苦題をつくるギューチョコ桃花。桃花ちゃんが作ったのは「愛スクリーム」にリップを混ぜた「利ップ」。気になっている人が唇に塗ると、自分のことを好きになってくれるというアイテム。でも桃花ちゃんの片思いの相手の草太郎くんは、リップクリームとか使わなそうですね。

ギュービッドの「ウエッとティッシュ」は、普通のウエットティッシュにダンゴムシのフンやらどぶ水やらを染み込ませたもの。これで大形の顔を拭いてゲロをはかせたすきにぬいぐるみをかぶせるというストレートすぎる作戦に笑いました。

最終的に完成したのは「好感メモ蝶ふせん」。一見ただのふせんですが、これにメモを書いて飛ばすとお互いのいいところが伝わり合うというスグレモノ。これは「黒魔女さんと悪魔の証明」にて、迦楼羅とのやりとりに使われましたが、私はもう一度使われてもおかしくないなと思っています。おそらく、大形を完全改心させる時にまた出てくるんじゃないかと。

 

京太郎が謎すぎる

前巻に引きつづき、今巻も衝撃的なオチでした。烏枢沙摩明王の真言によって大形の亡き祖父・京太郎が復活し、孫の魔力は自分譲りだと告白したのです。

これを読んだ時本当にびっくりしました。なんたって大形問題に超重要そうな人物が登場する&大形の魔力の由来明らかになる&幽霊ネタのトリプルコンボですから。この問題を本格的に解決に向かわせようという気合いを感じました。 

ちょっと不安なのはこの話以降大形がいい人になったみたいな描写が続いていることです。なんでいい人になったのかはちゃんと掘り下げてほしいし、京太郎が物語的に美味しいところを全部持って行くみたいな展開にはなってほしくないなと思ってます。まあ心配することでもないでしょうが。

 

 

イラストが亜沙美先生に

これまで黒魔女さんシリーズのイラストを担当していらっしゃった藤田香先生が亡くなり、若おかの亜沙美先生がその役目を引き継がれました。

令丈先生のtwitterで訃報を知った時は本当にショックだった。数巻前から体調がすぐれないということでしたが、まさかこんなことになるなんて。黒魔女さんは藤田先生のイラストで最後まで読めると、当たり前のように思ってました。

私が黒魔女さん読み始めたのって、無印1巻の表紙のメグに一目惚れしたからなんですよ。特に初期は線が太めでちょっとゴツゴツしてる感じで、それが『黒魔女さん』の雰囲気にすごく合ってた。かわいいけどかわいいだけではない絵で、『黒魔女さん』も一筋縄ではいかない児童書だから、ベストパートナーすぎる!と思いました。

今巻から亜沙美先生がイラストを担当されてますが、亜沙美先生っぽさがありつつ、黒魔女さんワールドらしくもある絵で、「プロってすげぇな……」と思いました。石崎先生も亜沙美先生も、体に気をつけて頑張っていただきたいです。

そして藤田先生、こんなに素晴らしい黒魔女さんワールドを作ってくださって、本当に本当にありがとうございました。

 

 

 

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