黒魔女さんが通るブログ

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青い鳥文庫『黒魔女さんが通る‼︎』 をだらだら語る  

【黒魔女さんが通る‼︎】18巻を振り返る【感想】

 この記事の続き。

 

krmjsnfan.hatenablog.jp

 

 

第一話

あらすじ

誕生日を控え、エオスターラのサバトの準備でワクワクするギュービッド。魔界では誕生日を迎えた人が周りの人にプレゼントなどをします。ギュービッドのために何かしてあげたいチョコは、サバトを盛り上げるためにさりげなく協力することに決めます。

一方、学校で音楽室に幽霊が出たという相談をうけるチョコ。行ってみると、誰もいないのにピアノの音が鳴り響き、どこからかなぞの歌声も聞こえます。その上、チョコを助けに来た麻倉と東海寺が急に「黒鳥とは絶交だ」と言い出したのです。

さらに下級生の「伊津守麻衣子」ちゃんから、下校しようとしたら「国道666号線」「三十路」などの見たこともない道に出たという話を聞くチョコ。ギュービッドに相談しようとしますが、「サバトを盛り上げるために協力する」という決意を思い出し、師匠に頼らず一人で解決しようと考えます。

 

「モリカワ」のメンバー、久々に登場

12巻ラストで人間界に集結したギュービッドの元同級生四人。今回は、彼女たちが4巻ぶりに登場しました。

このブログで何度も書いているように私は暗御留燃阿オタですし、どちらかといえば魔界キャラの方が好きなので、同級生組の再登場は非常に嬉しかったです! キャラブックで明らかになった各キャラの誕生日もあらためて振り返っていましたね。森川の誕生日はマーボンのサバトの日ですが、「マーボン」というやわらかい響き、めっちゃ森川っぽくないですか? あと黒雷の誕生日が主人公とほぼ同じで驚きました。

それからチョコがやたら一人でしゃべり倒しているのが気になりました。みんなの話を聞いてそれまで誕生日会を開いた黒魔女が一人もいなかった理由に納得し、「QED(証明終わり)」宣言をするチョコさん。暗御留燃阿に「将来、ユニークな黒魔女になりそう」と言われたあと、次のような地の文が続きます。

いいえ、暗御留燃阿さん、ユニークなのは、みなさんのほうです!

だって、りっぱな黒魔女さんたちが、純和風のお店に集まってて、そのかっこうが、カントリー少女、演歌歌手、セレブ女子、そして、キャリアウーマンなんですから!

みなさーん、魔女といったら、三角帽子に黒マント、魔法の杖でチチンプイっなんていうのは、ウソですよ〜。そんなの、作られたイメージですからね〜(『黒魔女さんが通る!! Part18』 p32)

「モリカワ」メンバーがいかにユニークかをこれでもかというほど語るチョコさん。ちょっとした好意的発言を倍以上にして返してます。あんまり絡みのない上司との会話を必死で盛り上げようとしてる部下みたいですね。初見の読者のために、あえてここでキャラ紹介を繰り返したのかもしれないですね。今巻は彼女たちの出番も多かったし。

 

久々の「学校の怪談」ネタ

記念すべき無印一巻でも登場した音楽室のベートーベン幽霊ですが、なんと9年の時を超え、形を変えて復活します。

舞ちゃんから音楽室に出るという幽霊の相談を受けるチョコ。実はベートベンの肖像画には「ベントーベン」という死霊が住み着いており、非常サイレンに住む「セイレーン」と協力して「絶交」の曲を聞かせることで、人々を絶交に追い込んでいたのです。なんだか天てれっぽいセンスですね。

そうともしらず、チョコを助けようとして逆に「絶交」を聞いてしまう麻倉&東海寺。これまでしつこいぐらい言い寄ってきていたのがウソみたいに冷めた表情になり、「黒鳥、おまえとはもう、絶交だ!!」と吐き捨ててその場を去ってしまいます。

p70の二人の死んだ目が不気味です。いつもキラキラお目々の東海寺がここまで無表情なのは後にも先にもここぐらいじゃないでしょうか。麻倉の片方だけ上がった眉毛も心底軽蔑してる感があってなんかリアルです。急にこんな顔されたら怖いなぁ。

実はベントーベンはそんなに悪いやつじゃなかったのですが、麻倉たちとの仲直りは次巻に持ち越しです。二人の息のあったラブコールが見れないのはやっぱりちょっと寂しいです。

 

 

第二話

あらすじ

エオスターラ当日。サバトを盛り上げるため、桃花たちと一緒に飾り用の四つ葉のクローバーを摘みに行くチョコ。途中、ラプンツェルのコスプレをした霧月姫香ちゃんを発見します。

さらにチョコは、伊津守麻衣子ちゃんに「三十路」「国道666号線」につれていかれます。そこにいたのは、なんと30代になった舞百合メグ。さらに謎の少女・きみえや、怪しげな魔法屋台も現れて……

 

霧月姫香さん大活躍

これまで出番が少なかったキャラがフィーチャーされることが多かった無印3学期編。今巻スポットライトを浴びたのは、メルヘン女王・霧月姫香さんでした。

第一話から長いエクステを付けてラプンツェル(グリム童話ver.)になりきっていた姫香さん。第二話でもコスプレをして街を走って行きますが、チョコは彼女が謎の鳩を連れているのがひっかかります。おまけに今日の格好はお姫様というより質素な村人でした。

さらに姫香ママからグリム童話版「ラプンツェル」のあらすじを聞くチョコ。彼女によると、グリムバージョンのラプンツェルは、ご自慢の長い髪を塔の上に上がってきた魔女に切り落とされ、荒れ野に追放されるそうです。

それを聞いたチョコはピンときます。昨晩幽霊退治に行った時、音楽室の床に金髪のエクステが落ちていたことを思い出したのです。そこから次のような推理を組み立てます。音楽室で姫香さんがラプンツェルごっこをしている時、何者かがエクステをつたって童話の魔女よろしく校舎に登ってきた。そしてこれまた童話の通りエクステを切り落としたので、「追放」された彼女は、今朝村人風の格好をしていた……。

少ない情報からこれだけの考察ができるチョコさん、かなりひらめき力がありますよね。そして霧月親子のメルヘンへのこだわりはオタクとして素晴らしいです。特にそのお家は「白雪姫」のお城の元ネタ、セゴビア城そっくりで、塔(!)の上には旗までたてられています。玄関ドアはロッドを振ったら開く仕様になっており、死ぬほど金がかかってそうです。

姫香ママは初登場でしたが、娘と同じく目の中に星が浮かんでいるの芸が細かいです。それから姫香さんがチョコのゴスロリに独特の関心を示していたことも発覚。よく考えてみたら童話には魔女や魔物もたくさん登場しますし、オカルトオタクのチョコとメルヘンオタクの姫香さんは意外と仲良くなれそうな気がします。

 

謎の少女きみえ

Part0でチョコのインストラクターになり損ねた謎の少女きみえ。5巻ぶりに再登場した今回もなにかと意味ありげな行動をします。

チョコの姿勢の悪さからくるおばあさんくささを指摘し、「みんな、考え方が逆なんです!」とはっぱをかけるきみえちゃん。実はこのセリフは後の展開の伏線。物語後半、サバトが何者かに荒らされるのですが、そこで先ほどの推理の順番を入れ替えることで犯人にたどり着くのです。

ズバズバとアドバイスをしていたきみえちゃんでしたが、ブラックウィッチ学園出身の黒魔女、叶夢のすがたをみとめると「ひゃ〜! バ、バレた〜!」とその場をたちさります。Part0でもそうでしたが、彼女は特定の人(チョコや伊津守麻衣子ちゃん)以外には姿を見せたくないようです。その理由といい、なぜか毎回ナイスなアドバイスをしてくれるところといい、謎が多くて今後掘り下げられそうなキャラです。公式HP(2020年3月更新分)によると人気も高いようですし。

 

30代になった舞百合メグ

迷子になった伊津守麻衣子ちゃんと一緒に「三十路」に迷い込んだチョコ。そこにいたのは子供の小学校お受験にふさわしいママファッションを語り合う舞百合メグでした。どうやら「三十路」に足を踏み入れた人は30代になってしまうようです。

大人になってもファッション自慢の勢いが衰えないメグが面白かったです。でも小学校時代のようなハデハデスタイルではなく、きちんとめのアイテムを紹介していたところ年月の経過を感じました。セリフによると美シルエットなジョッパーズパンツを履いているはずですが、p161のイラストで身につけていたのは可愛い感じのワンピースでしたね。

数ヶ月前公式HPで、石崎先生が「大学生になったチョコたちの様子を書きたい」とおっしゃっていたのですが、わたしもいろんなキャラの大人バージョンを見てみたいので期待してます!

 

 

第三話

あらすじ

いよいよ開催されたエオスターラのサバト。主賓のギュービッドはチョコや友人たちのためにお花を選び、オリジナル呪文「花の黒魔法」をかけてそれぞれの花言葉を実態化してプレゼントしようとします。

しかし、儀式の途中でギュービッドのアサメイが折れるという事態が発生。そのほかにも不吉な出来事が多発し、サバトに誰かの呪いがかかっていることが明らかに。すこしでも師匠の役に立ちたいチョコは、呪いの主を探すべく、昨日からの出来事を反芻しますが……

 

ギュービッドのお誕生日

いよいよエオスターラのサバト兼ギュービッドのお誕生日会が始まります。魔界のバースデーパーティーは誕生日を迎えた人が周りにプレゼントをあげるスタイル。ギュービッドがみんなのために用意したのは、それぞれに合わせた花言葉を持つ花でした。

暗御留燃阿にあげたのはハシバミ。花言葉は「仲直り」。一同は感動ムードに包まれます。

ギュービッドが暗御留燃阿(を含む同級生組だけど)に「おい、泣くなよ」とか言ってるの、暗ギュー的に大変萌えたね。ですが13巻の感想で書いた通り、わたしは暗御留燃阿の改心過程にイマイチ納得がいってないのでこのシーンで感動はしませんでした。チョコ曰く、「たいていの感動シーンには、さめた目をむけるあたしでさえうるうるきちゃう」らしいですが、13巻以降同級生組のことも暗御留燃阿のことも大して掘り下げられていない中で、彼女たちとそれほど絡みがないはずのチョコが「うるうるきちゃう」理由がよくわからないです。その辺の事情がいつかもっと詳しく描かれることを期待してます!

 

大形と暗御留燃阿が普通に会ってる

食事が振舞われ、バースデーソングも歌われ、いよいよ熱気を帯びてくるサバト。しかし、ギュービッド特製呪文「花の黒魔法」が失敗したり、盛り上げピエロ「盛り魔」が場の空気を白けさせる「下げ魔」になってしまうなどの不吉な出来事が多発します。さらにサバトの結界が破れているという重大事件までおこり、結界を張った森川は魔界検査官に連行されてしまいます。

検査官と一緒に「モリカワ」にやってくる大形。サバトには同級生組が全員いるので、暗御留燃阿と大形くんが鉢合わせる事態になります。だからといって何が起こるでもなく、会話シーンもなく、お互い無関心モードでしたこの師弟の再会はもっとじっくり描かれると思っていたので、ここまであっさりと済ませられるのは意外でした。

森川を助けるため、魔界へ向かう同級生三人。自分も一緒に行くと言う桃花を、暗御留燃阿は「大形のインストラクターとしての責任を果たせ」と制します。お前が言うな。文脈的に桃花を責めようとしたのではないことはわかりますが、そもそも暗御留燃阿がインストラクターとしての責任を放棄したからこそ桃花がその役目を任されているわけで、大形問題に協力している描写が一切ないのにこのセリフを言われてもパワハラっぽさがすごいです。出番が多いのはオタクとして嬉しかったですが、この巻の暗御留燃阿は正直微妙なシーンが多いです。

 

ブラックウィッチ学園の卒業生が登場

一連の事件の黒幕は私立ブラックウィッチ学園の卒業生、叶夢(カノン)。学生時代のギュービッドとの出来事を根に持っており、その恨みを果たすためにサバトを邪魔していたのです。

その出来事とは王立魔女学校との合同運動会で転ばされたこと。成績トップ同士の「魔ラソン」で暗御留燃阿と対決した叶夢。事前に仕込んでおいた数々の不正のおかげで、この勝負に勝てばブラックウィッチ学園の勝利は確定していました。しかしギュービッドがマラソンコースに脚を投げ出し、彼女をつまづかせたことで形勢逆転。運動会は王立魔女学校の勝ちに終わりました。

暗御留燃阿は足が遅いという新事実が発覚。オールマイティーにできるタイプかと思ってたので、まあまあ意外でした。運動会のエピソードは4巻の座談会でもあったし、もしギュービッド学生時代編が書かれるとしたら、絶対にこれも使われそうですね。叶夢と暗御留燃阿の成績優秀者同士の会話も読んでみたいです。

 

 

全体を通して

ギュービッドのお誕生日巻なので、同級生組の出番が比較的多かったです。彼女たちは全員もっと掘り下げてほしいです。