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青い鳥文庫『黒魔女さんが通る‼︎』 をだらだら語る  

【6-1黒魔女さん】怒涛の伏線回収巻『黒魔女さんと黒魔術の王』【11巻感想】

この記事の続き

krmjsnfan.hatenablog.jp

 

あらすじ

チョコが「周りに不幸をもたらす」黒曜石の力を持っており、大形がその力を引き出す「魔王の王冠」を持っていることが発覚した前巻。彼らは魔界警察に追われ、桃花・ギュービッドともに魔界へ逃げることになります。メリュジーヌから黒魔法教団・魔ンドレーエが大形を狙っているという話を聞いたチョコたちは、教団に立ち向かうべく奮闘しますが……。

 

 

回収された・されなかった伏線

回収された謎・伏線

①京太郎復活の理由

→大形が自らの改心のために、死者を蘇らせる魔術・死者誤入を復活させたから。

②大形の改心の背景

→一部判明。綺麗な心を取り戻してチョコの元へ戻るために、元黒魔法使いの祖父を頼ろうと考えた。

③「魔王の王冠」とはなにか

→とても強い魔力のこと。「暗黒の騎士」と「黒曜石の黒魔女」が「黒魔術の血痕」をすると発生する。

 

 回収されなかった謎・伏線

①京太郎は何者なのか

→元魔法使いということ以外不明。

②東海寺迦楼羅など、京太郎以外の死者復活の理由

→不明。(死者誤入のためとも考えられるが、迦楼羅は毎年麻倉家の別荘を訪れているという記述が『黒魔女さんの夏休み』にあり、死者誤入が復活した時期と矛盾する)

③『黒魔女さんの夏休み』にて、真言で京太郎がよみがえったように見えた理由。

→不明。

④チョコが「黒曜石の黒魔女」なのはなぜか

→不明。

 

 

感想

大形京、ガチのマジで改心していた

今巻、ついに『黒魔女さんの夏休み』で京太郎が復活した謎、そして『黒魔女さんの呪いの学園』で大形がいい人になっていた謎が発覚します!

7年前に死亡した大形の祖父・京太郎。彼を蘇らせたのは、なんと孫である大形京でした。綺麗な心を取り戻してチョコの元へ戻りたい彼は、元黒魔法使いの祖父を頼ろうと考えたのです。そのために、死者を蘇らせる黒魔法「死者誤入」の復活を目論んでいた黒魔法教団・魔ンドレーエに近づき、みごと「死者誤入」に成功。京太郎とともにうらみを消す修行をしていたというわけです。

11巻展開予想記事に反し、何の含みもなくいい人になっていた大形くん。改心シーンが描かれなかったのは正直びっくりしたのですが、心を入れ替えた理由は納得できるものでした。

うらみにとらわれ、何度も魔界支配を試みてきた大形。そんな自分を、チョコは幾度も助けようとしてくれました。いつしか彼の心の中に、綺麗な心を取り戻してチョコと一緒にいたいという気持ちが芽生えます。

暗御留燃阿を許したからとかではなく、「チョコと一緒にいたい」という思いでつらい修行をのりこえたのがとても彼らしいと思いました。魔界の王を目指していた人物にしては改心に向かう動機が幼い気がするのですが、そのことが逆に、精神は幼児のままなのに強大な魔力のせいで危険人物扱いされてきたことに対する悲しみなどを感じさせてよかったです。

「魔王の王冠」を黒魔術の王に渡して魔界を混乱におとしいれるか、拒否してギュービッドと桃花を見殺しにするか、究極の選択を迫られたチョコ。そんな彼女に、大形は「自分のよさはなんなのか、いまの自分の強いところはなんなのか、考えて」と声をかけます。これまでチョコにかなわなかった理由を、「(チョコは)自分の思いに、すなおに行動したから」「その正直さにぼくは負けたんだと思う」と振り返る大形。『黒魔女さんのホワイトデー』の「なぜ格下のチョコに負けるのかわからない」という自らの発言に対するアンサー的なセリフです。

意を決して魔法石の呪文を唱えるチョコ。突風がふき、黒魔術の王が「魔王の王冠」を奪い取るために用意していた「未完ジュース」が逆に彼自身の口に入ってしまいます。魔力を抜き取られて消滅する王。さすがチョコさん、覚悟を決めると強いです。

しかし「未完ジュース」は、拘束魔法をかけられて弱っていた大形の口にも入ってしまいました。魔力と記憶を奪われ、うすれゆく意識の中で、「……ぼくたちは、いつだって鏡のようにわかりあえてきただろ?」「だから、魔力がなくなっても」「ぼくたちは、ずっと……」「つながってるんだよ」と言い残す大形。みんなを救うために唱えた呪文なのに、かえって取り返しのつかない事態を引き起こしてしまい、パニックに陥ったチョコはギュービッドに助けを求めます。

さすが石崎先生、最高の引きです。やっぱ黒魔女さんって本来こういうお話ですよねぇ。良かれと思ってした行為が自分の一番大切な人を傷つけてしまうとか、最高にツボです。しかもチョコが魔法石の呪文を唱えたのは大形くんの励ましの結果ですから、本当に芸がこまかいです。「鏡のようにわかりあえてきた」というセリフもいいなあ。

次巻は日常編っぽいですが、大形の救済はまた次の魔界編になるのでしょうか。私としてはそろそろ暗御留燃阿が自分の責任を果たさなくてはいけないのではと思ってるんですが、出てくるんですかね。楽しみです。

 

魔王の王冠と黒曜石の黒魔女

大きな謎の一つだった「魔王の王冠」についてもその正体が判明しました!

前巻、大形のポケットの中から出てきた伝説の「魔王の王冠」。しかし結論から言えばそれは偽物。大形をはめるために魔ンドレーエが用意したものでした。本物の「魔王の王冠」とは、魔界の支配すらできるような非常に強大な魔力のことです。

もともと古代黒魔術を研究する平和的な同好会だった魔ンドレーエ。しかし数年前、「黒魔術の王」を名乗る人物が会長になってからは、死者を蘇らせる黒魔法「死者誤入」を復活させて魔界を支配しようと考えだしたそうです。教団の元ネタは薔薇十字団でしょうか。黒魔女さんらしいですねぇ。黒魔術の王のキャラデザも好きです。悪役なのに純白のコートを着ているのがいいです。この作品の悪役らしいかっこよさ。

「死者誤入」について書かれた書物「黒魔術の血痕」によれば、「暗黒の騎士」と呼ばれる死霊魔術をきわめる者と、「黒曜石の黒魔女」と呼ばれる者が、お互いに血痕指輪をはめて「黒魔術の血痕」をするとき、「魔王の王冠」がうまれるのだとか。黒魔術の王は、「黒曜石の黒魔女」とはチョコのことであり、「暗黒の騎士」は最強の死霊魔術・死者誤入を成功させた大形だと推測します。

 魔王の王冠が宝石ですらないというのは盲点でした。「だれひとり本物をみたことがないからこそ、ニセモノの画像でだまして売りつけることができる」というカラクリも、妙にダークなリアルさがあって黒魔女さん感ビシビシで嬉しかったです。そして石崎先生は「騎士」がお好きなのかな? 『黒魔女の騎士ギューバッド』シリーズなんてタイトルに「騎士」がついているし、強いこだわりを感じます。

気になるのは、チョコが「黒曜石の黒魔女」であることに関して特に説明がない点、そして『黒魔女さんの夏休み』であれほど意味ありげに登場した京太郎が、それ以降全く出てこず、元黒魔法使いであること以外に詳細が明らかになっていない点です。今後掘り下げがあれば嬉しいなと思います!

 

 

まとめ

めっちゃ面白かったです!

『黒魔女さんの修学旅行』以降登場した謎が一気に回収される怒涛の伏線回収巻でした。 次巻は日常巻なので大形のことは一旦お預けになるのかもしれませんが、この問題は絶対に面白く着地してくれると確信を持てる巻でした。石崎先生ありがとうございます! 次巻も楽しみです!

 

 

 

感想記事その2

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