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5-1全員に出番がある第1話
あらすじ
クリスマス会を開催する5-1。メインイベントは班対抗・クリスマスケーキ合戦。ビリの班に与えられる課題を避けるため、奮闘する生徒たち。チョコたち一班はお菓子作り大好き少女・桜田杏ちゃんに率いられ、トップを狙う。しかし、ジャーナリスト系女子・桜都愛花さんがケーキ合戦の取材に使っていたカメラが、魔界グッズであることが判明して……
5-1が全員出演
この回の見所はなんといっても、5-1キャラが全員出演することでしょう!
誰かに焦点を合わせるのではなく、それぞれのキャラの言動をスナップ写真のように切り取っていく感じです。ひとりひとりの登場場面は長くないですが、そのキャラらしさはバシッと現れており、「5-1って本当に個性豊かなクラスだなあ」と思います。石崎先生大変だっただろうなぁ……。『黒魔女さんの小説教室』でも、この回は書くのに苦労したとおっしゃっていましたね。
特に面白いと思ったのは、杏ちゃんの気合の入りっぷり。「スポンジをふわふわ&きめ細かいジェノワーズにして、プロの力をみせつける」とか、「あえて失敗の多い『共立て』をする」とかいった、専門用語っぽいのが次々でてきて、もうその時点でプロの力を見せつけられた気分です。黒魔女さんって、「〇〇マニア」みたいなキャラが多く出てきますけど、みんな知識豊富だからすごいですよねぇ。そしてこんなにいろんな「〇〇マニア」キャラを描ける石崎先生、博学すぎない?
ちなみにジェノワーズってこれ↓ですよ。ちゃんとしたお店に売ってるやつじゃん。小学生が作るものじゃないじゃん。
あと、結実ちゃんが「あ、三毛猫ちゃんが出てきた。杏ちゃん、これもケーキの材料?」(p44)と言っていたのが面白かったです。動物女王のブラックな一面を見てしまった。
「モリカワ」、人間界に進出
森川瑞姫さんのお店、「モリカワ」がついに人間界進出しました!イェーイ!
魔界の「モリカワ」は7巻でレオナール伯爵たちに燃やされちゃったんですよね。それで、ギュービッドが人間界に支店をつくることを勧めたそうです。 Part0でもニート中のギュービッドと一緒に住んであげてたり、性格の良さが光る森川さん、報われてよかったね。
13巻以降、ここに暗御留燃阿とピーチと黒雷が来て、随分賑やかになるんですが、物語的にはイマイチ使われてない感じがします。
意外に恋愛メインのお話だった第2話
あらすじ
ケーキ合戦に負けた1班。「街のお年寄りに話を聞こう!」という課題を与えられ、元大工の井江田照蔵さんのお家におじゃまします。井江田さんから第一小に出現するという幽霊の話をきいたチョコたち。正体をつきとめるために夜の学校に忍び込みますが、そこに意外な人物が現れて……
美珠亜&麻倉良子コンビの誕生
このお話の目玉は麻倉良子ちゃんの初登場だと思います! この回で美珠亜&良子の、チョコにライバル意識を持つコンビが誕生します。意外と遅いですね。
チョコが麻倉くんを振り回していると思っている良子ちゃん。兄の恋を応援するため、なんと今まで麻倉家の長女であることを隠していたらしい。お兄ちゃん大好きで可愛いけど、彼氏の妹がこの子だったらちょっと重いですね。ボサボサ気味の太め眉毛が麻倉とお揃いで可愛い。兄のことを「おにいちゃま」と呼んでいるのがお嬢様っぽいです。
美珠亜ちゃんは式神をクリスマス回に送り込むなど、かなりチョコを敵視している様子。三毛猫は式神にするのが難しいらしいですが、東海寺がチョコに騙されていることに気づき、目を覚ましてもらうために何日もかけて手なずけたそうです。誤解がひどいのはともかく、その行動は愛ですね〜。小学生にして恋する相手のために苦労することができるとは。やったぜは20歳超えてますが、小四の美珠亜ちゃんに太刀打ちできる気がしない。
チョコさんの成長が描かれる?
この回で、チョコさんは美珠亜ちゃんたちに黒魔法をかけるのですが、うまくいきません。それは「まがた魔」という魔力を跳ね返す石のせい。それを美珠亜ちゃんが見つけ出すことができたのは、東海寺を思う強い気持ちゆえ。チョコさんは、「そこまでの気持ち、あたしにはよくわからないけど、大切にしてあげたいなって気がする」と感じます。
東海寺&麻倉を思いっきり邪険に扱ってた初期だったら、もっとつきはなしたこと言ってただろうなあ……と思うと、チョコさん、成長したなあと思います。ハロウィーンとかクリスマスとかを通じて、思いやりの心が育ったんだろうなと。かといって別人のように変わったというわけでもなく、あくまで「そこまでの気持ちはよくわからないけど」と、以前のチョコさんらしさが残ってるのがいいですね。
メグの意外な一面を知れる第3話
あらすじ
書いたことが実現する「黒魔女かるた」のめあて記入という特別修行をするチョコ。根本教頭が考えた標語をパクることで乗り切ろうとしますが、「みんなの目標、服がださこ」という標語を書き込んだところ、ギューチョコ桃花の服装が驚異的にダサくなってしまいます。実は、「ふくがださこ」というのは超絶ファッション音痴な女の子、普久芽田沙湖ちゃんのことだったのです。 普段の格好に戻るため、なんとか沙湖ちゃんにまともな服を着てもらおうとするチョコ。そこにメグがやってきて……。
メグのファッション哲学が明かされる
この回の一番の見せ場は、メグがチョコと沙湖ちゃんにファッション哲学を語る場面でしょう。ふだんはおバカ発言や自己中な言動などでギャグキャラっぽい描かれ方をしているメグですが、このお話では人間的な深みを感じ取ることができます。
おしゃれになりたい気持ちが強く、研究熱心なはずの沙湖ちゃん。ところが、一向にセンスが良くなりません。そんな彼女に、メグは「聞きすぎるとバカになる、聞かなすぎるとブスになる」という言葉を授けます。沙湖ちゃんはみんなからオシャレだと思われたいだけで、具体的にどういう服を着たいのかが決まっていない。その状態で人にアドバイスを求めても、ざっくりとした答えしか返ってこないよと。
うーん、深いですねぇ。いつものメグだったら、ブランド名を羅列したり流行の色とかについて語ったりしそうなんですが、ここではあえて精神的なことを語るのがいいよね。メグがいかにファッションに真剣に向き合っているかが伝わってきます。
それに、頭ごなしに沙湖ちゃんの服を否定するのではなく、「色の合わせ方がわからなかったら、シューズショップにいってスニーカーを観察するといい」のように、その子の課題にあったアドバイスができるのがさすがだと思いました。メグ、大人だな。
チョコ、再び魔界へ
「黒魔女かるた」の修行で、根本先生が考えた標語をパクっていたチョコ。そこに「し=室内では、ぼうしもぬいぐるみも、とりましょう」という標語があったために、大形のぬいぐるみが外れてしまいます。そしてその罰として、王立魔女学校での冬期講習に出席することを命じられます。
なのでつづく12巻は火の国王立魔女学校が舞台になるのですが、10巻も魔界編だったことを考えると、ずいぶん短い間隔で魔界へ行くんだなぁと思いました。だって『クリスマス』から『お正月』まで1週間しかないよ。チョコさんの年末超忙しい。
全体的に
7巻で主人公の成長は描かれたし、9巻で5-1は全員揃ったし、10巻でティカのことも明らかになったし、『クリスマス』までで前半の大きなイベントはだいたい終わったという認識です。12巻からは強いて言うなら大形問題を一つの軸として進めていってる印象。その中間に位置する無印11巻は、どことなく平和でほのぼのした巻だと思います。色々事件は起こるんですが、どれもあまり深刻な感じではない。1話の死霊のコックさんは、「かまめしの容器は奥さんがいないとき、一人分のご飯を炊くのに役立つ」とか言っちゃうおとぼけキャラだし、2話の美珠亜ちゃん・良子ちゃんは思い込みがはげしくて困ったちゃんですが、チョコさんが大人の対応をしてるのでそれほど毒を感じさせません。そののんびりした雰囲気が年末らしくて好きです!